色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

卒業おめでとう!

卒業式も終わり、アトリエの6年生4人も中学生になります。icon31
中学生になるからアトリエを辞めるというわけではなく、みんな登録はそのままで「また来ます」と言ってくれます。

しかし、実際には新しい環境になり、勉強や部活動が本格的になっていくなかで、なかなか継続してアトリエに来ることは難しいのが現実です。

だからこの時期はやはり別れの季節。
私も本当に寂しくて、自分の心のエネルギーをなんとか維持するのにせいいっぱい。
今日が最後だね、元気でね」とやっぱり言わねばなりません。

小学校高学年から中学生くらいというのは、いろんな感性が一気に花開き、人として成熟していく基礎になる大事な時期です。
だからその毎日をほんとうに大事にしていってほしと思います。大人になったとき、苦しいことにぶつかったとき、支えになるのは自分の子ども時代です。子ども時代に育んだ「私」という存在が、大人になってもきっと力になってくれます。

6年生、卒業おめでとうございます。icon12
そして新しい中学での日々を、好奇心や探究心を忘れずに楽しくすごしてください。
また、夏休みにでもアトリエで会えるのを楽しみにしています。



S君の6年生最後の水彩画です。
タイトルは「捨て去られたボール」。



人気のないまだ明るい公園にボールがひとつ置かれています。右半分は一転して夜の静寂のなかに大きな木がどっしり描かれ、枝が手を伸ばすかのように光の方に差し出されています。

ひとつの風景を光と闇で対比させ、動くものと(ボール)動かぬもの(大木)を配し、昼から夜へと移りゆく時間の流れも描き込みました。いろいろな心の内面を感じさせる作品です。

新しいものをつかむためには何かを手放さなければなりません。
捨て去られたボールはもう必要のない“心の何か”かもしれません。
明と暗で分けた、はっきりした画面構成はいさぎよささえ感じます。「卒業」し、新しい環境に「入学」していく不安はあっても、どっしりとした木の太い幹が、内なる力を感じさせます。

「なんか中学生になる気がしない」
「オレ、アトリエやめる気がしない」

といいながら描かれた作品。

この大きな木が明日の朝、どんなおおらかな姿で立っているだろうかと想像すると楽しくなります。
彼の心の葛藤や成長が伝わってくる素直ですばらしい「卒業作品」になりました。  


  • Posted by turu at 16:07Comments(2)