色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

寄り道・回り道する自由、失敗する自由

10月というのに夏日になったかと思ったら、冷たい雨の日が続き、半日ほど久々の晴れ間をみたのに、今日は10度を下回る冬のような寒い雨。
香ぐわしいキンモクセイの花もこの雨にみんな落ちてしまい寂しいかぎりです。
この寒暖の差に身心の調整もたいへんです。

秋は学校行事もたくさんあり、疲れがでたりしてお休みする子も多いです。
お休みが多いとちょっと寂しい気持ちにはなりますが、自由創作のアトリエ、いろんなペースで進んでいくしかありません。



6年生の作品、児童館のハロウィンの仮装コンテストの衣装が完成しました。
まるで彼の分身のように一年くらいかけて、毎回何かを足したり引いたりしながら制作。途中他の作品も作ったりしながら、ゆっくり自分のペースで作ることを楽しんでくれました。
もちろんその途中にはたくさんの「いらないもの」がゴミ箱行きとなるのですが、そんなゴミも大歓迎。
いろんな寄り道・回り道をしながら、そのプロセスを大切に自分の時間をすごすことが体験として積み重なっていきます。






こちらは2年生のプラ版の作品。小人の絵の細長い手の部分が、トースターで熱を加える途中でまるまってくっついてしまいました。
熱いうちに広げようとしたのですが、これが難しくて割れてしまいます。残念ながらもう一つ作ったのもうまくいきませんでした。
丁寧に描きこんでの結果なので、本人もとても悔しかったと思います。でも私に背をむけてちょっと悔し涙をふいたら、自分でちゃんと気分をたてなおしてくれたのにはびっくり。えらい!と思いました。うまくいかなかったり、失敗したりも大歓迎です。

子どもたちを見ているとほんとうにいろんなプロセスって大事だなと思います。

それなのに、私はといえば、聞かれてもいないのに「こうした方がうまくいくんじゃない?」と余計な口出しをしたり、おまけにそれでスルーされたりすると、大人げなくイライラしたり、反省しきりの毎日。
特に幼児期を脱して2、3年生くらいになると、作品も会話もなんだかおもしろくって、ついついちょっかいを出したり、よけいなおせっかいをしてしまい、「いいから、先生はあっちいってて。」とか「もぉー、見ないで!」なあんて言われてハッとすることも。

悪いと思いながらつい、ね。

私にある画材の知識や制作の経験がそうさせるのかもしれません。

でももしかしたら、長い間に私が無意識に身につけてしまった、回り道することへの躊躇や、失敗することへの怖れがあるような気もします。もちろん生きていくにはそれだって必要です。
ただ子どもの表現活動に関しては、何をしてもいいんだよという、ストンと抜けるようなおおらかさが必要です。

大人なら誰しもどうしようもない自分の傾向性というのはあります。
でも、アトリエでは、子どもたちが自由な創作を通して伸びていく、ということへの信頼感のほうが大事。

余計な口出ししないようにしなきゃ。

子ども時代に自由に表現することは、ゆっくり、たっぷり、おもいっきり、です。




6歳、男の子。粘土の恐竜、力強くてかっこいい!





段ボールで作った紅白のゴミ箱。3年生。役にたつといいな。





2年生、女の子。砂絵を使ったちょっとファンタジックな作品。