締め切りは半年先に
誰だって締め切りというのはが苦手です。
提出物や仕事の締め切り、いろんな手続きや申し込み、支払いの締め切り。
焦る気持ち、めんどうな息苦しさ・・・・。英語ではdeadlineというかなり強いイメージの言葉です。
自由な作品作りでさえ、大人の場合は展覧会などにむけていつまでに、と自分を追い込んでいかないとなかなかできなかったりします。
でも子どもたちは、100パーセントの今を生きているから、先の締め切りなんか気にしない。
むしろその日を楽しみに、いくらでも取り組めてしまうからスゴイ!
アトリエでは、半年先の「ハロウィンの衣装コンテスト」(先月10月26日)にむけて約六か月コツコツと情熱を傾けた男の子(5年生)がいます。
3月くらいから「ハロウィンの衣装をね、つくるんですよ、まだ半年以上あるから大丈夫」と言い、
え?、それ、いくらなんでも早すぎない?と思っていたら、そこから何やら始まって本当に約半年、彼の制作の柱になり続けました。
こつこつと手を加え、何かをはずしたかと思えば違う部品をくっつけ、家でもそれを制作するので、毎回毎回持ち帰り、またアトリエのたんびに、その大荷物をかかえてやってくる。
背中のリュックに詰めたり挟みこんだり、さらに大きなふくろにいれて抱えて、自転車やキックボードで通ってくれました。
その姿をみるだけで、感動!
10月に入ると「間に合うかなあ」とさすがに締め切りモードになっていましたが、間に合うもなにも、その日を自分で引き寄せるようにして傾けた情熱には脱帽です。
そしてついに、児童館でのハロウィンのお祭りの日、衣装コンテストでみごと審査員特別賞を手にし、その賞状を持ってきて見せてくれました。
遠い「締め切り」を自分で楽しく引きよせ、自分のなかにずっと住まわせておけるなんて、とてもポジティブ。
辛いの焦るのなんていう感情とうらやましいくらい無縁です。
大人の私たちも、何か自分の好きなことを見つけて、締め切りさえも自分の楽しみにできるくらいの力が欲しいです。
そんな豊かさがあったらなあと、彼をみていてつくづく思いました。