色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

やわらか頭の子どもたち

不安定なお天気が続きますが、窓際からふとキンモクセイの香りが感じられるなど秋らしくなってきました。

9月後半は、雨などの天候不良に加え、新学期の疲れが出て体調を崩す子もいたりして、お休みが目立つアトリエでした。

そんな中めずらしく4人のうち3人が絵を描いてる「お絵描きモード」の日がありました。


面白かったのはその制作過程。

5年生のS君は、水彩画のカードを参考にしながら「紅葉」を、3年生のT君は海をテーマに描き始めました。

Sくんに「木が描けない。たのむから赤い葉だけを描いて」と言われて、少しお手伝い。
ほんとは人の作品に手を加えたくないのだけど、そんな時はちょっとしたコツを知ってもらうチャンスでもあるので、説明しながら筆を動かします。
「センセイ、絵うまいね」とかほめられたりして「まあね」なんて言ってみたり。




そのあと彼は画用紙の右半分の木も気にいらないと言い、どうするのかなと見てたら、その上に新しい画用紙を切ってそれを貼って隠してしまいました
なるほど、その手があったのか!

私がもし「どうしたらいい?」と彼から相談されてたら、「もう一枚新しく描けば」とか「大丈夫だよ、もっと描いていいよ」などありきたりな事をいってたことでしょう。

彼はその絵の一部分だけがどうしてもいやで、そこだけ新しくするために画用紙をはったのです。これで気分もスッキリ、なかなかいい感じで進んでいます。




そして海を描いてる3年生のT君。すでに紙の表面がぼろぼろしてくるくらい何度も塗り重ねた様子。



「あれ?それなに?」
なんと画用紙の上には直接、まあるくドーナツ状に紺色の絵の具が絞り出してありました。
それを筆でとったり、水をつけたりしながら塗り広げています。(その写真はないので想像してください)

「パレット使わないの?」と聞くと「いやあ、こっちの方がなんだかいいんだよね」との答え。
確かにパレット抜きで、色と紙がずっと近づいて仲よしな感じ。

                                  クジラが気持ちよさそう!

 子どもたちの発想の自由さ、頭のやわらかさにはいつもこちらが教えられます。
さまざまな方法や道具はあっても「使い方」にとらわれず、気持ちに一番近いところを通ってゴールをめざすのも大事なのですね。

私もアトリエを始めたばかりのころは、自由なアトリエと言っておきながら、なにか正規のルートがあるかのように「出来あがりの良さ」や「道具の正しい使い方」などにこだわっていたところがありました。
すぐ口をはさむのでなく、やっとちょっと待てるようになったのかな?

ふたりがやってた方法、こんど私も試してみようと思います。  


  • 9月はみんな忙しい

    2学期がはじまり、9月のアトリエも第一週を終えました。
    なんだかみんなちょっと荒れてるというか、落ち着きがなかったなあ。

    2学期がはじまった緊張感や、友達とすごす日常の嬉しさみたいなものが ないまぜになっている感じでした。
    あんまり集中しないし、おしゃべりも多かった。

    おしゃべりはむしろ楽しいし構わないのだけど、それがなんとなく気分高めのところで起きていて、
    他の子をまきこんだり、結果、相手の時間を奪ってしまうことになったりするのには困りました。

    画材の扱いもけっこう荒く、木工ボンドや接着剤もマヨネーズのごとし!
    段ボールカッターで木を切ったり(もちろん、切れません)、ハサミで針金を切ろうとするなど無理なこと危ないこともけっこうあり、はらはらしました。
    もちろんみんながみんなじゃないけれど、こういうことは私としても疲れてしまうので、なんとかしたいところです。

    でもそれには理由がありそうです。
    9月はなにしろみんな忙しいのです。
    運動会の練習も始まり、同時に音楽会の楽器のオーディションなどもあるそうです。

    運動会のダンスの音楽♪が頭のなかにずーーーっと鳴っていて取れない!という子。
    ついには踊りだし、みんなもそれにつきあってからだをゆっすったりしたけど、それでも音楽が消えない♪♪♪と頭をかかえてました。(どうしようもないね!)

    音楽会の希望の楽器の人数が多くてオーディションになってイヤだという子。(オーディションなんて緊張するよね!)
    リレーの選手になれなかったとがっかりする子。(いつも選ばれてたんだね)

    みんな本当にたいへんなのです。
    それらのストレスがアトリエの自由な空気のなかで出てしまうのかもしれません。
    制作に入る前に、まあ、ウォーミングアップ?でしょうか。

    最近は行事の分散化や中学受験への配慮から、5月に運動会をする所が多くなっています。
    アトリエの子どもたちも、調布、武蔵野、東大和などはもう終わっているようですが、三鷹はまだまだ「秋の運動会」なのですね。

    運動会と言えば、我が子が通った第二小学校は校庭の真ん中に大きな大きな桜の木があって、その周りを走ったりダンスしたりするのがおもしろくてとても印象に残っています。
    小柄な息子たちは運動は得意ではなかったけれど、ダンスをすれば前列に、組み体操はてっぺんに、と写真をとるのにはホントに困りませんでした。
    私自身は、子どものころは走るのが遅かったので運動会は大嫌いでした。

    子どもたちと話していると、何十年も前のことがそう遠くないことのように鮮やかによみがえってくるから不思議です。

    みんなケガなどしないよう、運動会も音楽会もよい思い出になるようがんばってほしいと思います。



    3年生、Hくんの作品「萩野公介」。リオパラリンピックももうすぐ閉幕ですね。


      


  • 夏、終わりました

    久しぶりの更新です。

    夏の蝉たちと秋の虫が一斉に大合唱、暑く忙しい夏が過ぎ去ろうとしています。

    この夏、アトリエ前半は参加者も少なくのんびりしていましたが、後半はせまいアトリエがたいへんな人口密度になるくらい、みんなよく来てくれました。

    普段なかなか来れない中学生たちも顔を見せ、部活や勉強の悩みを語りつつ、夏休みの課題などを制作していきました。
    夏ならではのこういう時間は、成長するみんなのたくましさや繊細さにふれ、心の奥が新たな色でぬりかえられていくような気持ちになります。

    他の活動としては、小学生のための色彩ワークやイベント出展などの他、「ぴなっと子ども学習支援教室」の子どもたちとのアトリエ、友人知人との交流、老人ホームでのワークなど、さまざまな時間をすごし、ほんとうに忙しい夏でした。

    今、ちょっと気がぬけてほっとしています。
    こういう時ってうっかり怪我をしたり、体調くずしたりしやすい、というのはこれまでの経験で証明済み。
    若くないからね、気をつけねば・・・。

    すでに、25日あるいは29日から2学期が始まっている学校もありますが、今日1日(ついたち)から本格的な2学期の始まりです。

    「来るなーーーーーっ!!!、2学期ーーー!!」と叫んでた子もいたけど、2学期は来てしまいました。
    また一緒にがんばっていきましょう。



    帰省した折、立山連邦の雄山(標高3003m)にチャレンジ。ふだんなにも鍛えてないから、キツかった!でも山はすばらしかったです。


    28日の日曜日、老人ホームで。秋を先取り「紅葉を描く」。どの方にも思いうかぶ場所や思い出があるようでした。

      
    タグ :2学期