色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

5年生男子「科学はこれ以上発展しなくていい」


九州で大きな地震がおきました。たくさんの人が被災しています。
物資はあるそうですが、必要な所になかなか届かないといいます。

自然の脅威の前に私たちはなんと無力なことか。
そして、先の東北の震災も問題が山積されたまま、私たちは今起きていることを、他人事でなくどう自分自身に引きつけて考えていけるのか、また問われています。
小さい子どもやお年寄りが何より心配です。

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アトリエは新学期が始まり、みんな元気に来てくれています。
ひとつ学年が上がるだけで、なんとなく顔まで違ってみえるから不思議です。

仲のいい5年生の男子二人だけのこの日のアトリエ。(16日)
 
スターウォーズの話から今回の地震のこと、車の自動運転が現実味を帯びていることなど、なんとなくおしゃべりしていました。

一人の子がいいました。
「センセイ、オレ科学ってもう発展しなくていいと思う。これ以上発展したらたいへんっていうか、ちょうどいいっていうのがあると思う。もう発展しないでほしい。」
するともう一人の子が
「おれは科学者になってロボットとか作りたいのね。でもロボットはロボットでも年寄りが一人でいて誰か呼びたくても呼べない時役に立つような、そういうロボットなんだよ」



科学はこれ以上発展しなくていい。
ロボットは年寄りのために作る。

5年生ふたりの発言。う~ん、なるほど。思わず考えさせられます。

小さい時から評価や競争にさらされ、一人ひとりのペースは「みんなの基準」に優先され、今の子どもたちはなにかと大変です。
憧れの職業や人生のロールモデルのイメージも薄らいでいます。
科学の発達で便利になる一方、息苦しさや格差社会の矛盾は子どもたちにとってもまさに現実のことです。
高学年にもなればさまざまな情報端末を使って災害やテロ、ミサイルなどの映像も簡単に見ることができるでしょう。
時間の流れを止められないとしても、科学技術の発展が本当に人の幸せになるのか、科学はなんのために使えばいいのか、という根本の問いは残り続けます。


社会的な意味の「大人」「子ども」の枠ではなくて、
小さな人間のあなたたちと大きな人間の私たちは、つながりながら今を共有して生きています。
性別や年齢やいろんな条件も超えて、何がホントに豊かなのかって考えていかないとと思う。

そうこうしてるうちにも、どんどん時間が過ぎてしまうかもしれないけど。

なにげないおしゃべりから、いつもいつもいろんなことを考えさせられてます。



「科学はこれ以上発展しなくていい」といった子の作品。感情を描く、といってめずらしく色を使ってくれました。


「年寄りのためにロボットを作りたい」という子の作品。右が石の粉の粘土で作った作品「bb8」
コロコロ転がるおもしろいロボットです。

  


  • 桜満開、個性も満開!

    4月、ようやく桜も満開になりました。

    このあたりは野川や深大寺、それから国際基督教大学のキャンパスなど桜の名所がたくさんあります。私もこれから行ってみたいと思います。

    子どもたちは春休み、どのように過ごしているでしょう。
    アトリエの写真の整理も進み、新学期には、1年間の成長の記録として親御さんにお渡しできそうです。


    この間「こだわる」というテーマで2回作品紹介をしましたが、それは決まったテーマや好きな物への探求心という「こだわり」でした。

    今回紹介するのは、そういう決まった何かではないけれど、独自の感性と探求心で、他にはない個性満開の作品です。
    4年生になるの男の子の作品です。先週完成したばかり。



    ゴーグル部分をおろすと全面カバーできる、おもしろいマスクをつくりました。カラフルで楽しくて強そう!

    こちらは同じ子の少し前の作品たち。







    彼の場合、「ひたすらに・・・」という言葉が浮かぶくらい、ただただ集中して手を動かし、その過程を存分に楽しんで、何ができるかわからないけどそこがおもしろくてたまらない様子。制作中は2時間でも3時間でも休憩するということがありません。すごいエネルギーです。

    それは、私のような大人のちょっと凝り固まった頭には刺激的です。

    私は、何かを始めるときには多少計画的に、過程はできれば合理的に、目的にかなった結果もほしい・・・、と思ってしまう。
    アタマが固いのに、すぐ疲れる。ああ、お茶、お茶にしようなんて。

    子どもたちは、ごまかしのない心で、100パーセントエネルギーを傾けて制作してくれます。計画も目的もない、「今ここ」の心の表現は、大人には真似できない発想でイメージも豊かです。
    ほんとにいいなあ。自由で。

    こういう作業をたくさんたくさんしておくことで蓄積された経験は、大人になった時にきっと役にたつと思います。
    どんな分野であれ、何かを計画し実行しなければならなくなったとき、自分で考え自分で経験したことが多いほど、物事を受け身でなく主体的に考えることができるのではないでしょうか。創作活動はまさに自己の経験そのものです。

    極端な言い方かもしれませんが、人は自分で選び納得し自分で経験したことしか力にならないのです。

    子どものころの絵画造形の一番の効果といえるのは、色彩を使った多様な表現や造作の経験が、身体にしみこむように感覚的に蓄積される ということだと思います。
    その成果は今すぐには見えなくても、大人になってからわかったりするものです。

    何かと結果を急ぐ世の中ですが、これからも長~ぃ眼で子どもたちの創作活動を見守っていきたいと思います。
    個性満開の写真を見ていて、あらためてそんな気持ちになりました。