色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

青の静寂、赤の熱


先週のアトリエから-----中学一年生の女の子の作品を紹介します。
いろんなの組みあわせ。静かな落ち着いた色合いです。


折り紙の花びらが放射状であることも、背後のブルーのワイヤーの輪も、広がりとともに中心を意識させられる形です。

「ひとりの時間がいいんだけどなあ」
と彼女。
小学生の子どもたちが帰るのを待つようにして、ひとりになるとやっと手が動き出します。

今は1人がいい。
中学生はいろいろなことが変化していく時。
友人、勉強、部活・・・・ぽつぽつと語られる言葉から、「ああいろんなことを考えているのだろうな」と自分にもあった思春期の複雑な感情を思い出します。

穏やかな青の色合いのなかにも冷静さや静寂、中心へ中心へとむかう内省的な心の動きを感じる作品です。

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さて、ちょっと一日時間がとれたので、ひさしぶりに映画を見に新宿へでました。
(呉美保監督、綾野剛と池脇千鶴主演の「そこのみにて光輝く」)

映画の後、道路の向かい側に新宿花園神社があったので、ふと懐かしくなって寄ってみました。



それこそ30うん年前、学生時代に、当時まだあった夜行列車(寝台車ではありません)で、東京に出て、一日中、映画や美術展をめぐり、
そして夕方からはこの花園神社で「状況劇場の紅テント」を観て、また夜行に乗って富山に帰る。そんなことを何度かしていました。

よくまあ、あんなことができたものだと思うけど、エネルギーも体力も気力もありました。

そんな思いにひたりながら歩いていると、えっ、まさか本当にあの「紅テント」が・・・。

驚きました。そうか、今この時期上演しているのですね。知らなかった。

この日は休演でしたがはっきりと「唐組」の旗が。



私が観たのは当時「状況劇場」と称していた1980年前後だったでしょうか。

アングラにあこがれ、とにかく“抵抗” “抗議” “アンチ” “オルタナティブ”そういう言葉に心動かされ、人間の存在について自分なりに必死で考えようとしていた時期でした。
同世代の友人と遊ぶことをせず、上の世代にあこがれ、ちょっと暗い学生だったかも。
若いころは、アングラ演劇も現代美術もそんなにわかっているとはいえませんでした。
それでもなんでも触れていたかったのです。

色といえば暗い青が好きで、よくそんな色を使った絵を描いていました。
でも気持は自分の中の、どうしようもできない葛藤や「怒り」でいっぱいでした。
抑え込む心の色は実は赤、赤、赤・・・だったのかもしれません。

「紅テント」との思わぬ再会で当時のことが一気に蘇りました。
でもすでに薄れた記憶と、少しの苦みをともなって、今は鮮やかな赤ではないことがなんとなく救いです。

それにしても・・・、このテントもくすんだ色で古いなあ・・・。
まさかあの頃と同じテントだろうか。

作り変えたりしてないのかしら、と余計なことを考えながら帰ってきた一日でした。