色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

五感を刺激して

こちらは3歳になったばかりの男の子。
お母さんと一緒にアトリエで創作です。(3歳以下のお子さんは個別クラスで、親子で来ていただいています)

青い絵具をぬり始め・・・画用紙ではスペースがたりず、紙をテープでつぎ足しながら、ついには筆も投げ捨てて、手でおもいきり絵具の感触を楽しみます。
顔や服にも絵具が飛び散って、でもとっても楽しそう。小さなアーティスト君いわく、これは大きな川だそうです。



水彩絵の具は、水を加えることでその変化を楽しめるうえに、さらっとした質感でいっきに広い面もぬることができ、感情的な解放感を味わえる画材です。

またこんなふうに大胆に手で描くと、水彩のひんやりした心地よさを味わいながら、皮膚感覚もしっかり刺激されます。(大人でもやってみたい!)

この感覚刺激が4、5歳まではとても大切なのですね。
五感を使ってさまざまな経験をしていくことで、右脳を刺激し、表現力だけでなく左脳も含めた総合的な力が育っていくのだそうです。

最近は衛生面の問題もあってか公園の砂場なども少なくなり、まさに感覚刺激の「泥んこ遊び」なんていうのもすっかり昔の話になってしまいました。
子どもが育つ環境のなかから、感覚を刺激するような場がどんどん少なくなっているような気がします。

アトリエでも糊やボンドが手につくことを極端に嫌がる子たちがいます。糊が手につかないようわざわざヘラや綿棒なんか使って・・・・。
なんだかかえって面倒な気もするのですが、しかたありません。

それでもなんでも好きな画材で好きな造形活動をするのはいろんな刺激を味わえると思います。
汚れるのを面白がる子も、嫌がる子も、みんなアーティストですね。


そんなアーティストのひとり、8歳男子君の作品です。ユニークなキャラクターがいっぱい。

これは普通の画用紙の2倍もある大きなケント紙に描いたのでけっこう時間もかかっています。
想像力もすばらしいけど、その描写を可能にしている観察力も感じます。いろいろストーリーもあるようで、色は塗りたくないのだとか。
キャラクターの個性やお話を自分なりに考える作業というのは、いわば監督とかディレクターとかの知的な役割だから、あまり感情的な色彩は必要ないのかもしれません。
これから更にどんな作品が生まれてくるのかとても楽しみです。