色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

夏のアトリエも終わり

ツクツクボウシが鳴き空にはイワシ雲、秋への入り口と言うのにまだまだ暑さが続いています。

夏はさまざまなセミナーや研究会への参加、帰省、その間を縫うように夏休みのアトリエ、アトリエ、アトリエの日々。
ようやくひと段落です。

子どもたちは半分くらいはお休みですが、この夏休みも小学生を中心に「自由研究」や「課題画」の制作によく通ってくれました。

夏は「宿題」という通常の自由なアトリエとは違う目的があります。

私もふだんは全く自由にしながら子どもたちの要請があれば手伝ったり教えたりしているのですが、夏のこの宿題の場合は、ちょっとだけ普段とは違う「口出し」をします。

子どもたちも、学校に提出するのだからいつもの自由創作とは違うという意識ははっきりしているし、親御さんたちもそれなりの期待をお持ちです。
ま、お互いわかってるからいいのかな、と、私もやや「指導的」になってきます。

ただ絶対ゆずれないのは子どもたち自身の自分のアイデアやデザインであること。
それがないと絵に命がはいりません。


夏休み明けの合同作品展などにいき、いかにも大人が手伝ったとわかるような作品が入賞していたりするとやはり複雑な気分になります。

アトリエでリラックスして描いたものは基本のびのびしていますし、そこにちょっとアドバイスをしたり、いつもより丁寧にぬってもらったりするだけで十分いい作品ができます。
あんがいみんな入選入賞したり、市の作品展に選ばれたりしていて、そのことが自信や喜びにつながったりすることもいいことだと思っています。

ではそんな作品のなかから、完成したものをいくつが紹介いたします。



一年生男の子。課題は「農のある風景」
なかなか難しい題ですが、一年生にわかるというより親御さんたちが理解して子どもに話すというのが前提で出されているのですね。
この子はお母さんと一緒に野菜を栽培していて、ミニトマトがたくさん取れたところを描いています。
まさに“体験”が物を言うとはこういうこと!と言う作品。
よく出ないマーカーで荒々しくカサカサに描いたままの部分があったので、ちょっと上から塗り直してもらいました。
あとトマトの左はすっかり空いていたので、何か描こうよとアドバイス。

でもこの空の感じ、いいなあ。
空を見上げたら最初に雲が見えて、その“上”に空が広がっている、確かにこんな感覚が子どもの頃ありました。
画用紙の縁までしっかり塗ってあってなかなか力強いです。



5年生女子。自由研究「地球の歴史」
巻き物風にしたいというので、細長く切った障子紙に本をみながら描いていきました。
最初は文字も鉛筆書きのままで、本人もそれでいいというのでいったん持って帰ったら、お母さんから「もっとはっきり書きなさい」と言われ再度アトリエに持ってきました。
確かにその方がいいですよね。
いったん「これでいい。出来た」となった後は気分的に大変なのですががんばって時間をかけて作りました。



6年生女子。課題は「平和カレンダーの絵」平和カレンダーは毎年三鷹市が小学生から「平和をイメージした絵やメッセージ」を募り制作しているものです。
「平和のイメージの絵」というと鳩、地球、手のひら、ハート、いろんな国の服装の子どもたち、など共通のイメージがよく見られるのですが、
この作品はユニークです。
カエルとカタツムリが仲良く音楽を奏でているようすを描きました。たくさんのモチーフがまとまるよう指揮をする女の子を大きく描き、いつもよりかなり丁寧に塗ってもらいました。
なかなか楽しい絵になったと思います。


夏休みもあとわずかです。
暑さに負けず、みんな宿題頑張ってほしいです!!