色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

1年生「見て描く、見て描く」

5歳から3年間アトリエに通ってくれているS子ちゃんは、今年2年生になる小学校1年生。

そのS子ちゃんがここ2ヶ月くらい、いわゆる「観察画」というのを描いています。

ここは好きな画材で好きに描く自由なアトリエなので、一年生に観察画というのは無理があるのではと思っていました。


ですからS子ちゃんから「センセ、今日はなんか見て描くから、なんかなあい?」と言われた時も、
『お家でお母さんから言われてきたのかなあ、まあ嫌がったらやめればいいか』くらいの気持で野菜やくだものなど家の冷蔵庫にあるものを出してあげました。

技術的に難しいとか早いとかいうことではなくて、7歳と言えばまだまだ心のままに描き、自分の家族や好きなキャラクターなどの身近な世界に浸りながら少しづつ個性を伸ばしていく時期です。
ですから何か対象に対して、ある意味冷静にこちらから近づいていかねばならない観察画は、小さな子どもたちのエネルギーとは違い自由であることを遠ざけてしまうのではないかと思うのです。

でも始めてみるとこれが意外と面白がってくれて・・・、触ったり匂いを嗅いだり、その野菜や果物の中の色を考えたり。
私もだんだん力が入ってしまって、「まっすぐの線で塗らないで、手でどんなふうにさわれるか考えてみて」などど、普段はあんまりしないアドバイスをつい言ってしまいます。
でもそれをまた本人が受けとめてくれて、気がついたら一年生としてはなかなかの力作がいくつも出来上がっていました。




こちらはモデルです。






思えばS子ちゃんは大人もびっくりするくらいの大変なエネルギーの持ち主。
5歳でアトリエに来始めたときからとにかくたくさん作るし描くし、基本は月に2回のアトリエも複数の曜日を利用し、多い時は5回も6回も通ってくれました。
大きな模造紙いっぱいに描いたりしても疲れ知らず。お母さんが迎えにくるまでそれはもう夢中になってやっています。

そして自分より年が上の子どもたちのすることも本当によく見ていてなんでもやってみたがります。
そのエネルギーは粘土細工や木の工作にとどまらず、写し絵や布を縫うクッション作りもこなし、絵もクレヨン、チョーク、水彩、アクリルとそう言えば何でも経験済みです。

そんな多くの時間と大量の作品数という積み重ねが、いわゆる大人の描くような「静物画」にたどりついても不思議ではないのかもしれません。
私が「もうそれくらいでいいんじゃない?いい感じに描けたね」と言っても「やだ!そっくりに描きたい」といって聞かないくらい。

自由画も観察画も心がもとめていれば力をくれる。

これからまた、いろんなキャラクターや心の内面を表現していくような作品もたくさん生まれてくることでしょう。
子どもの持つ無限の可能性と言うのをあらためて感じさせてもらってます。