色彩は「もう一つの心の言葉」です。 色は私たちの感情や記憶と深くむすびつきながら日々を豊かに彩り、心身に様々な作用を及ぼしています。色を使った表現を通して心を元気にしたり自分らしさを育てたりするアートセラピーを社会に活かしていきたいと思っています。

塗り絵セラピーとお茶っこ:宮城県登米市、仮設住宅

先週4日(木)、5日(金)の二日間、宮城県登米市にある3か所の仮設住宅「塗り絵を中心としたアートセラピーとお茶っこ」があり、お手伝いしてきました。

コーディネートは、仮設住宅のさまざまな行事の企画・支援を行う宮城のNPO「コミュニケーション・タイム」の大田さん、
そして主催は仙台在住のアートセラピストで私の友人でもある「アトリエ・アイアム」の佐藤和枝さんです。
佐藤さんは、震災後、子どもたちや仮設にすむ大人の方、そしてその支援員の人たちを対象にしたアートセラピーの活動を地道に行ってきました。

今回は佐藤さんの呼びかけもあり、私もぜひにとお願いして参加させてもらいました。

朝9時仙台に。そこから佐藤さんの車で現地へ。(約2時間半)
一日目は登米市南方町(ミナミカタチョウ)の仮設住宅へ。ここは近くにスーパーなどもあり、比較的大きな仮設住宅でした。
二日目は同市津山町の横山仮設住宅(戸倉地区)と入谷小学校仮設住宅(入谷地区)へ。こちらは被害の大きかった南三陸町にもちかく、そこからの被災者の方も何人か入居されているとききました。
海までは直線距離で10キロほど、山間の小さな仮設です。

私たちは、集会所の机の上に画材と何種類かの塗り絵をならべ、「好きな色を塗ってください」「色であそんでください」と声をかけます。
最初はちょっとだけみなさん遠慮がちですが、塗りだすとすぐに集中し、そして少しづついろんな話も聞かせてくださいました。


震災から4年目、健康に不安があったり、仕事や身内をなくしたり、形をかえてあらたな問題が起こるなか、その疲労やストレス、孤独はあまりにも厳しいのではないでしょうか。
それでもみなさん、時にはわいわい笑ったりおしゃべりしたり、また私たちを気使ったりしながら、和やかに楽しそうに塗ってくださいました。

「こういうの初めて」「何十年ぶりだわ」「やなこと忘れてられるね」
「色を塗るのはいいねえ、ただお話聞いたり、しゃべったりするより楽しいし、罪がないねえ」

この「罪がなくていいねえ」ということを何度も何度もくりかえす方がいて、心に沁みました。



色を塗るだけのことですが、「罪がない」という言葉にに集約されるような、少しでも無心に無邪気になれて、自分自身を大事にする時間をすごしてもらえたなら嬉しいです。
ただの「塗り絵」にすぎないけれど、選んだモチーフや色彩にはその人自身の人生の物語がこめられています。だから自然に気持も動きます。
厳しい現実の前にはアートの分野はどうしても後回しになりますし、ほんのちいさなプラスかもしれませんが、もっと必要なのではないかと感じました。



主催者の佐藤さんは、この活動の移動や休憩時に、積極的に私を被災地に案内してくれました。

前回2012年に石巻に来た時にはいけなかった「大川小学校」もそのひとつです。
多くの児童・教師が犠牲になりました。

私はジャーナリストの池上正樹氏の著書「あのとき大川小学校で何が起きたのか」という本を読んでいました。
だからなのか私の頭の中には大川小学校周辺の地理、ぼんやりとした“地図のようなもの”がありました。
しかし、その場に立った瞬間その“地図のようなもの”は粉々になって飛び散りました。
残された校舎以外、そこは何も、何一つない平面でした。
慰霊のための真新しい母子像に黙とうするのがせいいっぱい。胸がつまりました。



案内してくれる佐藤さんはとにかく休まず運転しっぱなし。ワークの準備もいろいろあるのにたいへんだったと思います。

山の斜面はまだ荒れたままの、気仙沼線「陸前戸倉駅」のあった所、南三陸町志津川の南三陸町防災対策庁舎、南三陸さんさん商店街。
防災対策庁舎
南三陸さんさん商店街
ポータルセンター


私もいろいろなところを見ておきたいと思っていましたが、彼女も「東京から来てくれるひとにこうして被災地を案内するのも私の役目だと思っているから」と言います。


河口や港では瓦礫も片付き、大型トラックが行き来し、重機もさかんに動いていました。
でも同じ仮設といっても差があり、人々の心にも微妙な違いがうまれ、現実はとても厳しいことをたくさん感じました。

東京なんかでのんきに暮らしてると本当のことはなかなか伝わらないだけに、今回の2日間もまたとてもいい時間だったと思います。
東京オリンピックもあるけれど、まず東北がある。フクシマがあるのです。

それを忘れないためにも、自分のできる範囲で、アートセラピーで交流したり一緒に活動したりしていきたいと思います。face01  


  • アートセラピーワークショップ、ぬり絵塾パート4開きました

    7月19日(土)、大人のための「ぬり絵」塾 パート4を開きました。

    協働センターを会場に午前午後あわせて5名の方が参加してくださいました。

    今回のテーマはコミュニケーションについてです。

    一年のうちで最も日の長い6月から7月にかけては、花もたくさん咲き緑もいっそう美しく感じられる季節です。

    それだけに私たちも内的なエネルギーが活性化し、無意識のうちに活動的になってきます。

    たとえば自分自身が変化を求めたり活動的になったりするだけでなく、思わぬ人の近況が届いて心を動かされたり、
    普段あまり気にならない人の行動になぜかイライラしてしまったりというちょっぴりマイナスなことも起きたりします。

    そんなこの時期、私たちにとって欠かすことのできない「コミュニケーション」をテーマにワークをしてみたいと思いました。

    まずそれぞれ小さな紙に「今日の気分」と題してハートをひとつ描き、この一ヶ月くらいのことを思い出していただきながら自己紹介。
    それから「普段の私のコミュケーション」をイメージしてぬり絵を一枚選んで塗っていただき、色彩やモチーフの意味を受け取りながらいろいろなことを語っていただきました。

    私も普段のコミュニケーションは積極的というよりどちらかというと「受け身」のほう。
    「コミュニケーションが得意です」という人に会ったことはありませんが、やはり皆さんなにかと注意していたり心を配っていたり、また壁があったりするものですよね。
    そして、もう一枚は「私にとって幸せなコミュニケーションとは」という新しいイメージで塗り絵をえらんで塗っていただきました。



    お二人のかたの絵をご紹介したいと思います。
    お一人はご夫婦で集合住宅型の老人ホームに入居して2年余りという女性の方。

    「普段のコミュニケーション」では蝶のモチーフを選ばれました。

    ひっそりと飛ぶ青い蝶は、周りには迷惑をかけず上には頭をさげ、穏やかにすごしていたいという気持だそうです。
    これまでの人生をふりかえりいろいろなことをお話くださいました。

    そして「幸せなコミュニケーションとは」という2枚目のほうは一転して赤い花びらが降り注ぐイメージです。



    「なぜこれを選んだのかわからない・・・・」と戸惑うご本人に、他の方が「これでよかったのだ!という気持ちを感じます」と発言されると、「ああ、そうです!そう言ってもらって嬉しい、心が救われます」とぱっと晴れやかな表情をされました。

    私も思わず胸があつくなりました。
    私もお話を伺いながら、この人生の大先輩の方の、きちんとした物の「見方」や「見え方」、そしてひとつひとつ丁寧に行動して乗り越えていらした凛とした強さを感じていたからです。参加者のかたのまっすぐな発言に感謝!します。

    という一色だけを選ばれた時点で、ご本人は気づかなくても、迷いのない気持の表現を可能にしているのではないでしょうか。
    この強さがあるからこそ、人生の智慧とでもいうべき静かな青を大切にできるのだなあ、と思いました。

    こちらは70代になったばかりという女性のかた。
    普段はお盆にいろんなカップを受けとめているように、まず相手の希望をきいてから自分がどうするか考えるとおっしゃいます。


    そして2枚目「幸せなコミュニケーション」は水彩を使ったやさしいタッチに中心に真っ赤な(太陽)を描き足した絵です。


    「結局は“個”があるということ。そこがしっかりあるから周りをうけとめられるのだと思う」とおっしゃっていました。
    さすが、しなやかな解放感あふれる絵です。

    毎回ほんとにいろんな発見があるのですが、今回は参加してくださった方が自由に声をかけあって話がすすむ場面がたくさんあり楽しかったです。
    私がみなさんよりかなり若くて、参加者の方が人生の達人たちなのでホントに話が濃い
    勉強になります!

    また、9月ころ、そして12月に開催予定です。
    新しいかたのご参加もお待ちしています。  


  • Posted by turu at 16:38Comments(2)アートセラピー

    大人のための「ぬり絵」塾お知らせ

    7月19日(土)、大人のための「ぬり絵」塾 パート4を開きます。

    色彩には不思議な力があります。
    なにげなく選んだモチーフや色から、自分のなかの無意識の気持や可能性を発見でき、言葉以上に心を動かしてくれるのです。

    色をぬったり、語ってみたりというのは、せっかく発見したそれらの情報をアウトプットしてリフレッシュすること。
    自分の選んだ色を味わい、自分のなかの力を確認し、明日へのエネルギーを再生することです。

    忙しい日常をちょっと離れて、ゆったりした「大人の時間」をごいっしょできたらと思います。

    ちょっと変わった・・・・たくさんの絵柄をご用意しています。
    お時間、ご興味のあるかたはぜひお気軽にご参加ください。

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    アートセラピーワークショップ・色に親しみ心をほぐす
    ちょっと変わった・・・・
    大人のための「ぬり絵」塾パート4

    7月19日(土)
    午前10時半~
    午後1時半~  (いずれも約2時間)
    参加費:2000円
    会場:三鷹市市民協働センター

    お問合せ・お申し込み
    アトリエ・コスモス 片倉洋子
    0422-34-3448
    color-y@s7.dion.ne.jp


      


  • 5月、変化の時

    ゴールデンウィークをはさみ、これまでにない忙しい日々が続いていました。

    住友生命でのイベント(4/28)、桜町病院ホスピスボランティア研修(5/15)、そして自身の企画の「ぬり絵」塾(5/18)、アートセラピーのワークショップを行い、いずれも私にとっては緊張を伴う大事な仕事でした。

    そして日々のアトリエに、個人の方へのさまざまなワーク、高齢者施設訪問などつづきました。
    アトリエに誰も来ない日や、私がどこへも行かなくていい日というのが数えるくらいしかありません。

    そんな充実した毎日なのに、なぜかブログスランプ。
    忙しさを理由に更新を後回しにしていました。

    アトリエも10年目に入り、私自身も変化の時なのかもしれません。

    新しい子どもたちも入って、新年度のアトリエのリズムもできてきました。

    また子どもたちの作品も紹介していきたいと思います。

    子どもたちの「やりたい!」が形になっていくプロセスは本当に見ていて感動します。
    大人にはない自由な発想、これでもかというくらい小さなちいさな作品に挑戦して集中するさまなど、とても真似できません。
    うらやましいくらい自分の中にある力を使って伸びていきます。

    私たち世代は(50代以上)もう後は年齢を重ねていくだけだから、子どものようなエネルギーは望めないし、
    最近はむしろ少しずついろんなものを手放して、いろんな意味で身軽になっていかねばと思うようになりました。
    Let it go! ですね。

    「身体の老化」は止めようがないけれど、子どもたちからパワーをもらって「心の老化」には無縁でいたいなと思います。


    2年生女子、畑に作物ができている様子です。小さい!後ろの鉛筆と比べてください。
    恐るべし、7歳!


    6年生男子、厚手の紙を濡らしてインクを流し込むようにしてえがきました。富士山と太陽と雲海と。ちょっと幻想的です。


    中一女子。細いペンで色鮮やかなイラストが描かれました。虹にどんな思いがこめられているのかな。


    2年生男子。「不思議な庭」。この形、じつにおもしろいです。どこからこんな発想がでてくるのでしょう。


    中一男子。コラージュ作品。現代芸術みたいで、これはこれでさまになってます。






      


  • Posted by turu at 12:32Comments(2)アートセラピー

    高齢者ホームでアートセラピー

    新年度が始まりました。
    アトリエの子どもたちの作品写真を、プリントして親御さんにお渡しすることを終えてやっと一区切り。

    今年は嬉しいことに、新中学生となった4人がアトリエを辞めずにそのまま継続してくれることになりました。(こんなことは初めてです)
    実際には中学生になっても続けるのはなかなか難しいとは思うのですが、彼らの成長の中で表現することが少しでも役にたってくれればこんな嬉しいことはありません。


    そして昨日はひさしぶりに高齢者のホームにおじゃましてアートセラピー「桜の思い出を描く」を行いました。

    練馬にある「くらら中村橋」というホーム。友人が勤めていて声をかけてくれました。
    単発のお仕事ですが、午前午後2回開催し、あわせて21名もの方が参加してくださいました。

    東京はもうすっかり桜も散ってしまい、桜を題材にするのは時期としてはちょっと遅いのですが、桜前線はまだまだ東北を北上中。
    東北や長野の北部は今が満開見頃だそうです。

    そんな話をしながら始めていきましたが、いきなり刷毛に墨をつけて幹を描くことや、初めてのアクリル絵の具に戸惑ったりしながらも、みなさん楽しそうに描いてくださいました。
    「これは秋田の久保田桜なんだ」「小学校時代に校庭に大きな桜があってねえ・・・」「初めての割にはうまく描けた」などまずまず好評でした。
    初めて出かけるところはこちらも緊張しますので、とにかく「楽しかった」といわれることはなによりほっとします。

    閑静な住宅街にあるこじんまりとしたホームでしたが、スタッフの人たちに温かさが感じられ、落ち着いた雰囲気がありました。

    そてしすっかり片付けも終えて控えの部屋に下がったあと、驚いたのは、今日この催しを主催した私自身がアトリエ・コスモスとして参加者おひとりおひとりに参加費の領収証を準備したことです

    これまでもいろいろな施設におじゃましていますが、これは初めての経験。

    アートセラピーの活動がきちんと認知されそれなりの報酬をいただくのは、まだまだ大変なのが現状です。

    これまでは、施設が利用者の方から徴収する参加費と私たちが報酬としていただく額に大きな差があったり、あらかじめ施設の決めた額をいただければまだありがたいのですが、「ボランティアで来てくれるなら」と無償での提供を求められりすることもめずらしくありません。

    今回の場合は、企画はホームが行い、当日スタッフがサポートにも入り、なおかつ料金については依頼を受けた主催者と参加者間にあり、施設との契約関係ではないという、きわめて解りやすい在り方。
    準備する私たちからすればこんなに風通しの良い嬉しいことはありません。より良い内容にとモチベーションも上がります。

    もちろん、私たちの側にも自分たちのことを伝え仕事につなげていくことの努力は必要だと思っています。

    しかし今回おじゃましたホームのように、わかりやすい「利用者主体」の仕組みがベースにあれば、私たちのような外部の人間でも気持よくお手伝いでき良い時間を作っていけるのではないでしょうか。
    ”高齢者ホーム間のさまざまな差”が問題になる現代ですが、長い「高齢期」をどう過ごすかというのは、私にとっても他人ごとではなくすぐそこの未来です。だからいつもいろいろなことを考えさせられます。

    一枚一枚の領収証を書いていると、不思議とひとりひとりのお顔が思い出されて、自分が楽しんでもらいたいと準備してきたことを少しは手渡せたような嬉しさがこみあげてきました。 (宛名はまちがってはいけないので、ホームのスタッフの方が書いてくれました)

    きちんとした企画の準備や、ホームの雰囲気のよさも、ひとりひとりのスタッフの日々の見えない努力に支えられていることは言うまでもありません。
    でもほんとうに楽しい仕事でした。
    今回企画してくれた友人のTさん、お手伝い下さったスタッフの方々に本当に感謝いたします。



      


  • Posted by turu at 17:25Comments(0)アートセラピー